2019年10月16日
日本のペット産業と供養の問題
日本のペット産業は世界的に見ると少し変わっている点があります。海外の人が最も驚くのはその購入の方法です。大型の動物に関してはブリーダーから直接ペットを購入するのが一般的な海外に対して、日本ではペットをペットショップで購入するのが一般的です。ペットを家族として迎え入れる方法は国によってさまざまであり、海外の人からすると違和感を覚えるのかもしれません。
日本における特殊な文化として「かわいい」文化があります。「かわいい」は海外でそのまま「KAWAII」と訳され日本のサブカルチャーを象徴する言葉にもなっています。
日本人の動物に対する「かわいい」の感覚は小さく幼いものを好む感覚です。ペットを飼う際にもほとんどの人が子どものイヌやネコなどを好むでしょう。多くのペットショップでは大きくなりすぎてたたき売りされているイヌやネコもいます。しかしそうした動物たちが買い取られることは稀であり、ペット産業のひとつの問題点となっています。
しかし人間がそうであるようにペットもずっと小さいままなわけではありません。イヌの場合、幼犬から成犬になり、そして老犬になります。老犬になれば病気の治療や介護なども行なわなければなりません。多くの人がペットを飼うときのその幼さや愛らしさを感じて購入するのに対して、最期を看取ることまで考えている人は少ないかもしれません。
一度ペットを飼ったことがある人ならわかると思いますが、ペットの介護や葬儀などを行うのは実は非常に大変なことです。ペットが亡くなったときに自治体に指定されている方法としては自治体の公営斎場を用いて葬儀を行うという方法です。多くの公営斎場にはペット専用の火葬場があります。そうした火葬場を利用して供養を行なうという方法です。
しかし、この方法にはいくつかの問題があります。
一点目は葬儀を行う火葬炉の環境です。自治体によっては遺体を一体ずつ火葬し、そして拾骨を行なわせてくれる自治体もあります。しかし、多くの自治体では火葬はしてくれるものの拾骨を行なうことができなかったり、またまとめて遺体を火葬してしまうため自分のペットの遺骨だけを拾うことができないという状態です。
広がりゆくペット産業に対して介護や供養など多くのペットサービスはいまだその需要に対応できていないという現状があります。そのため、多くの民間のペットに対する業者が存在し、本当にペットのことを考えたサービスを提供できるよう、日々努力を行なっているのです。
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